AURORA |
Hastil "LINEAR" gold-plated F |
本体材質 |
ステンレス(金メッキ) |
ペン先材質 |
14金 |
字幅 |
F |
機構 |
カートリッジ / コンバーター両用式 |
全長 |
138mm(収納時)/ 154mm(筆記時) |
胴軸径 |
9mm |
キャップ径 |
9mm |
重さ |
17g |
購入動機
鞄の外ポケットにはいつも手帳を入れています。電車に乗っているとき、カフェで休憩しているとき、思いついたことを気軽にメモできるように。ここ一年ほどは MD ノートの文庫サイズを使ってきましたが、メルカリで手に入れたリング径 10mm のバイブルサイズのシステム手帳で置き換えることにしました。
ここで問題になったのが手帳用のペンです。これまではセーラーのプロフィット 21 を使ってきましたが、システム手帳のペンホルダーには挿さりません。クリップを引っ掛ける方法も試してみましたがぶらぶらと安定せず、収まりが悪い分、スリムな手帳と太い万年筆のアンバランスも目立ちます。また、気軽にメモをしたいのに、ねじ込み式のキャップは脱着が面倒です。
書き出しの手軽さで言えば待機組に回っていたキャップレスを使いたかったのですが、クリップを引っ掛ける方法はやはりバランスが悪く、リフィル型ペンホルダーは微妙に細過ぎます。
※ PLOTTER のリフィル型ペンホルダーは対応胴軸径が 13mm で、キャップレスは最大胴軸径が約 13.4mm。革なのでギリギリ挿し込むことはできるものの、キッチリ締め付けられて取り出すのが至難の業、という微妙なサイズ感でした。
丁度 KINGDOM NOTE が半期決算セール中だったこともあり、システム手帳のペンホルダーに挿さる細軸の万年筆を探してみることにしました。目指すは胴軸径 10mm 未満、嵌合式、ペン先 F の万年筆です。
AURORA Hastil
最終的に候補に残ったのが AURORA の Hastil と Montblanc の noblesse でした。
noblesse はフルハルターの森山さんがご自身の研ぎの基本になったとも仰る名作です。noblesse のペン先は柔らかくしなやかで、その書き味は日本語に向いていると感じました。机に座って、文字を書くことをゆったり楽しむなら、間違いなく noblesse を選びます。
一方の Hastil は、これも筆記具として初めてニューヨーク近代美術館に永久保存され、その後多くのメーカーが円筒状(cylindrical)の細軸万年筆を生み出すきっかけとなった傑作です。Hastil のペン先は硬くしっかりとした弾力があり、noblesse が筆なら、ボールペンのような質実剛健さです。しかし、だからこそ、道具として安心して使い倒せると感じられます。
今回は、手帳とともにどこにでも持ち運び、揺れる車内でも立ったままメモを取ることができる道具としての万年筆、が条件でしたので、Hastil を選びました。
※ ちなみにニューヨーク近代美術館に保存されているのは、ステンレス製のエコスティールというモデルです。
※ noblesse の書き味はとても自分好みだったので、デスクペンとして、いつか入手したいと思っています。
今回はリニア(縦縞)の金メッキの F を購入しました。
細部
ペン先は平たく、横から見ると先端が少しお辞儀をしている形状です。この形状が独特の弾力を生み出しているのだそうです。
尻軸には小さなノッチがあります。キャップを押し込むと内側から押さえて、うっかりキャップが外れることを防いでくれます。
天冠は無印です。モデル(製造時期?)によっては天冠に AURORA のロゴが入るようですが、私が購入したモデルは無印でした。代わりに、キャップの下端に AURORA のロゴが彫られています。
残念だけど、たぶんバーメイルじゃない
今回、店頭では『アスティル バーメイル H22 リニア F』として販売されていましたが、SILVER 925 の刻印(ホールマーク)がどこにもなく、過去のカタログからそう判断したものの、販売店にも 100% の確証はないようでした。SILVER 925 の刻印がどこにもないこと、バーメイルにしては変色が少なく綺麗であることが引っ掛かります。
こちらが Hastil が日本で発売された当時のカタログです。バーメイルの記載はありますが、金メッキ(ゴールドプレイト)の記載はボールペンしかありません。そのため、販売店ではアスティル バーメイル H22 リニア Fと判断したとの説明でした。
販売店の説明を信じて購入はしたものの、インターネットで見つかるバーメイルの画像とは以下の点が異なります。
- バーメイルはすべて天冠に AURORA のロゴがあるが、購入したものにはない。
- バーメイルはすべてキャップと胴軸に SILVER 925 の刻印が見えるが、購入したものにはない。
かといって、購入したモデルの条件を満たすモデルも見当たりません。
www.catawiki.com
海外サイトを調べていくと、二件ほど、天冠に AURORA のロゴがなく、キャップの下端に AURORA のロゴがあり、SILVER 925 の刻印はないが、金色である、という特徴を満たすモデルの情報が見つかりました。
いずれも万年筆とボールペンのセットで、金メッキ(ゴールドプレイト)と記載されています。万年筆単体での販売はなかったとしても、ボールペンとセットでは売られていたようです。もしかしたら、国内販売はなかったのかもしれませんが。
私が購入したモデルは、おそらくこのセットの万年筆だけが中古市場に流れたものと思われます。これも推測ではありますが、画像から見られる特徴が一致しているので、カタログにないことだけを理由にバーメイルと考えるよりは可能性が高そうです。
(たぶん)バーメイルでなかったことは残念ですが、自分が納得できる結論を得られたので良かったと思っています。購入したペン自体は気に入っているので、手帳に挿してガシガシ使うつもりです。